夕方、ふらりと一人で出かけた。
暑いので裸足(はだし)にTOP SIDERもどきのストライパーを履いて、湘南ボオイを気取ってみた。
痛い。
ちょっと歩いただけで痛い。
戻るのは面倒だ、頑張るしかない。
電車に乗って、茅ヶ崎駅で降りる。
目指すは『開高健記念館』だ。
彼がチンギス・ハーンの陵墓を探すことをライフワークにしていたことに興味を持ち、何か参考になることはないか訪ねた次第だ。
ない。
モンゴル関連の資料を展示していた時期もあったそうだが、今日現在では一切見当たらなかった。
館内の案内の人が
「モンゴルで釣をしたときのビデオをご覧になりますか」
と、云ってくれたが、そのNHKスペシャルは既に観たので、その旨告げて丁重にお断りした。
開高健と云えば、昔から読み方にイマイチ確信が持てなかった。
いろいろ調べた結果“カイコウタケシ”だ、との自信はあったのだが、人と喋ると何割かの人が“カイコウケン”と云う。
“カイタカケン”と云う人さえたまにいるが、それは論外だ。
展示室に入ると、開高氏が着ていた背広が展示してあった。
わざと背広の裏地が見えるような細工がしてある。
あっ!イニシャルが!
“K.K.”
カイコウケンか?
自信を失いかけた。
しかし、ベトナムにいる開高氏に宛てた知人からの手紙には“Mr.Takeshi Kaiko”とある。
開高氏がベトナムから日本に居る自分の娘に宛てた手紙には“T.Kaiko”と自署してあった。
背広の謎はよく分からないが、“カイコウケン”と称することもあったのかもしれない。
奥に進むと“書斎”と案内板がある。
書斎に入らせてくれるのか?
進むと書斎方面らしき廊下にはロープが張ってあり、見学路は外へ出る方向だ。
なんや、窓の外から見るんかいな。
思わず開高氏のような口調を思い浮かべる。
“書斎は生前のままです”と注意書きがある。
案外片付いている。
書斎なので机がある。
座椅子があるので、正座か胡坐(あぐら)か、と思ったが、なんとその部分だけ掘り炬燵(こたつ)式になっていた。
正座はもちろん胡坐も苦手な私は、なぜか安心した。
来るときは2kmの道のりをなんとか我慢して歩いたが、帰りには靴擦(ず)れが余りに痛くてバスに乗った。
バスなぞ何年ぶりか。
座席に腰を下ろし、入館した時にパンフレットを貰ったことを思い出し目を落とした。
表紙にはこう書いてある。
~茅ヶ崎市~
開 高 健 記 念 館
THE
KAIKO TAKESHI HOUSE
Chigasaki
ふふふ。
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