今日も愛犬(正確には二姫の愛犬だ)の散歩に行ってきた。
彼女のマイペース振りは相変わらずだ。
こっちがウォームアップのつもりで最初はゆっくり走ろうとしても、いきり立ってダッシュする。
こっちの体が温まってジョギングのペースで走ろうとしたら、やたらとそのへんの匂いを嗅ぎまくるために立ち止まる。
走りにくい砂浜ではちょっと自分が四本足で走れると思って調子の乗ってスピードを上げる。
“Slow down!”
叫ぶと、チラッと後ろを振り返るが、そのまま走り続ける。
そういえば柴は日本犬だった。
「ゆるりと!」
チラッと振り返るがやはり走り続ける。
そういえば相手は犬だった。
グイとリードを引っ張りペースダウンさせる。
今度は砂浜の匂いを嗅ぎまくる。
岐度(きっと)牡犬のおしっこなのだろう。
彼女の日々の優先順位で、匂いというものはエサの次にあるのではないかというくらい、匂いを嗅ぐことに執念を燃やす。
そしてお気に入りの牡犬が来ると凝(じつ)と見つめ、すれ違ったあとも振り返り振り返り未練たっぷりの視線を送る。
美人とすれ違ったあとの私のようで嫌になる。
犬が私に似てしまったのか。
私も犬も所詮は同じ生き物なのか。
単に私に自制心がないのか。
その謎を残したまま昨年夏に海岸で出会った美人のことを思い出した。
犬はまことに便利なツールである。
犬を連れている者に限っては、挨拶や会話の許可証の役割を果たす。
昨夏、海岸で会話をした美人はボクサー(ボクシングをする人ではなく、犬の種類である)を連れていた。
お互いに犬を連れていなかったら絶対に会話できないどころか、私など犬抜きで海岸を歩いていたら警戒されかねない。
上品そうな多分30才がらみの女性で、美人ゆえに行き遅れたか、もう許婚(いいなずけ)がいるか、いずれにしても地元のまぁまぁいいとこのお嬢さんの風情であった。
ディズニーアニメ『101匹わんちゃん』では公園で会った飼い主同士が恋に落ちたのに、なぞと当時妄想したことを思い出し、「許可証」を引っ張ってまた海岸を走った。
それにしても犬は砂浜ではよく走る。
とてもじゃないがついていけない。
時々、犬は振り返り
「どないしたんや、その走りは?それじゃセサミストリートのビッグバードよりみっともないやないか」
と軽蔑のまなざしをこちらに向ける。
「くそっ、10年も経てばおまえもばぁさんや。その時は憶えていろよ」
と思ったが、10年経てば自分もじぃさんの領域に入っていることに気づいた。
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