2007年11月27日火曜日

鏡よ、鏡、鏡さん・・・

細君は私に向かって「あなたはナルシストだ」という。
とんでもない誤解である。
確かに私は世界で一番私のことが好きである。
鏡を見ていても飽きない。
けっこう男前だと思う。
世の中の女性がこの私固有の価値観を認めないだけである。
仕事振りも上岡竜太郎氏ではないが「仕事は一流、出世は二流、給料は三流、恵まれない天才ビジネスマン」だと思っている。
ただ怠け者なだけである。
また私はキリストのように心がやさしい。だが細君は「あなたは冷たい」と言う。それではキリストも冷たかったかもしれない、ということであり、キリスト教への冒涜である。

ある日のことである。三面鏡をなにげなく触っていたら、鏡写しではなく、その逆のいわゆる写真と同じに見える角度になったので、いつものように鏡に向かって微笑みの貴公子をやってみた。
驚いた。
そこに写っているのは私ではない。歯はガチャガチャ、クチにしまりがなく、顔は非対称に歪んで、なんとなく目つきもいやらしい。
そうなのである。私は長年鏡写しの顔ばかり見ていたので、いつのまにか脳が自分に都合のいいように修正していたのである。
そういえば、写真は本当の顔であるはずだから、写真を見たときに気づいてもよさそうなものであるが、単に私は写真うつりが悪いのだ、と思っていたのである。

案外世の中のみんなもそうかもしれない。脳は自分の都合のように修正するのだ。自分の容姿に自身のある女性ほど「私なんてかわいくありませんよ~」などという。脳内で修正されてその程度なのだと思ったほうがいいのである。

畢竟(ひっきょう)、皆ナルシストなのである。
私などまだかわいいものである。こんなに自分好きな私でも、ときどき真田広之の外見になっていたら人生は変わっていただろうと思うのだから。残念ながら彼が一番で私が二番(以降)である。だから、私は決してナルシストではないのである。

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