基本的に階段は一段飛ばしに昇る。
人と一緒の時はそうもいかないので、階段では歩き方がぎこちなかったりする。
前にのろい集団がいたとする。
お年寄りや赤ん坊連れなら納得してゆるりと歩くが、若い集団などがのんべんだらりと歩いていたりしようものなら、テール・トゥ・ノーズ※で前を窺(うかが)うミハエルシューマッハ状態だ。
※レース中に、前車の後部(tail)と後車の前部(nose)が触れそうなぐらいに近づいて走行すること
高輪口から品川駅に上るエスカレーターは大学教授の手鏡事件で有名になってしまったが、その横にある階段なぞは、途中に踊り場が二ヶ所もあって気分はパリダカのスペシャルステージだ。
突入のタイミングを間違えると、踊り場と階段の“魔の端数”の罠にはまり、一段飛ばししても大して早く昇れず間抜けな思いをする。
では突入のタイミングを覚えておいて毎回そうすればいいではないかと言われそうだが、記憶力がないのでいつも新鮮な気持ちで楽しんでいる。
モトクロスやF1レースにおけるコースのライン取りは、レーサーにとってタイムを縮められるかどうかのテクニックの見せ所だが、私の階段昇りにとっても、一歩目から飛ばすか一歩目は普通に昇るかと瞬時に決めて、いかに突入するかはライン取りと同じくらいの見せ場である。
階段に命を懸けているそんな後ろ姿をたまに知り合いに見られることがある。
かなり怪しい姿らしい。
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