2008年1月24日木曜日

容器戦争

出版社B社で打ち合わせがあった。
月に一回の月例ミーティングだ。

最初にW部長(男性)がやや真剣な顔で封筒を差し出した。
ラブレターでもないようだ。
そっちの趣味はない。

封筒の中身はこうだ。
最近“自費出版するのにお金だけ払わされて、本が書店に並ばない”と訴訟沙汰になり、結局会社更生法の適用を受けたS社が世間を騒がせているが、B社でも自費出版のビジネスを手がけており“うちは大丈夫なのでご心配なく”との書面を関係者に送っているとのこと。

ところで、いま出版業界は売れなくて大変らしい。
だから品格モノが雨後の筍のように出版されるのか。
出版社は中身で勝負できなくなると見るや、ターゲットを見直して携帯小説のコンテンツ提供に勤(いそ)しんだり、装丁に凝ったりしているらしい。
1980年代だったか、ビール各社が中身で勝負せずに、やれ樽型だ、注ぐときに音の出る容器だ、果てはロケット型容器だ、と「容器戦争」に狂奔したことがあった。
なんだかあの不毛な戦いを思い出してしまう。

出版業界も大変かもしれないが、古典を読んで分かるように、右顧左眄(うこさべん)することなく、基本に忠実に、“誰に何を活字で伝えたいのか”をもう一度考える時期であろう。

それにしても、こうして誰にも読まれなくても自由に書いて公開できる時代であるから、私は幸せである。
ゆめゆめ才能のないものが活字にしようなどと考えないことだ。
えらい目に遭う。

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