2008年1月27日日曜日

モトカレと呼ばれて

昔の恋人(男性)のことを元カレという単語で聞くようになって久しい。
簡潔でいいと思うが、相手が女性の場合は元カノジョでしまりがないと思っていたら、元カノと言うらしい。
元カレと対照させれば元カノも意味が判るが、元カノそれだけでは分かりにくい語感であるが、どちらもあるのだから、まぁいいか。

前に首相や社長だった人などの役職も元をつけるが、直近まで首相や社長だった場合は元ではなく前(ぜん)である。
ということは、昔の彼女に元カレと呼ばれる時は、自分が“引き継いだ”男はさらに誰かに引き継いだか、あるいはもっと、ということになるのだろうか。
つまり前カレ、この場合はゼンカレではなくマエカレの方が、語呂がいいだろうが、そのマエカレは、マエカノにマエカレの次の男からまた新たな恋人ができたときに、やっとモトカレの“称号”が得られるのではないだろうか。
まぁ、好いた惚れたでそんな厳密に言っても詮無(せんな)いこと。
要は以前の恋人はすべて「元」なのである。

「この方をどなたと心得る?!先の副将軍水戸光圀公なるぞ!」
水戸黄門のラストシーンには欠かせない有名な台詞である。
この“先の”は、“前の”という意味であるから、先カレや先カノと応用できるのではないか。
ただ先カレは先枯れみたいで、未来がない響きが嫌なので却下したい。
先の副将軍って英語で言うと“Former vice emperor”かなぁ、などと考えながら辞書を調べていると“以前の恋人”には“ex-lover”なる表現があった。
あと出てきたのが“We are exes.”で、“私たちは、以前は夫婦[恋人同士]だった(=私たちはもう別れた仲だ)”ということで、これは決まり文句のようだ。

それにしても元カレという言い方は、そもそも次(ツギ)カレができることが前提になっている響きがある。
いかにも現代風ということか。
その点、“ムカシノヒト”という言い方は、確かに過去の人にはなっているのだが、それは別れが想定外だったような、あるいは本当は別れたくなかったのに、という響きがある。
だから、イマカレにモトカレの話をするかもしれないが、イマノヒトにはムカシノヒトの話はしない気がする。

図らずもムカシノヒトに再会したときに、たとえイマノヒトがそばにいたとして、ムカシのことを一瞬思い出して目と目で判り合ってそれでよし、とすれば、それこそ大人の究極のロマンチシズムとも云ふものである。

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