リビングのソファに洗濯物が乱雑に積みあがっている。
どうも細君は整理整頓が苦手なようである。
風呂から上がって、いつもの場所にパジャマがなかったので
「パジャマある?」
と、尋ねた。
「ええっと・・・、あっ、あった、あった」
と、積みあがった洗濯物の下のほうから体をひねって出そうとする。
細君は膝にアイロン台を置いて、アイロンをかけていたので、体をひねって懸命に取っていた。
その様子を見つめていて、やっと私のパジャマが取れた細君は
「やっぱりやさしくないよね」
「えっ?なんのこと?」
「普通は、助けてくれるでしょ?」
「えっ、だから洗濯物の上のほうを念力で引き上げてたでしょ?」
横で聞いていた二姫が私を睨(にら)んだ。
細君は
「いい?こういう冷たい男を選んだら一生後悔するよ。まったくさ、私が妊娠してたとき、調子悪くなって入院して点滴受けてたときでも飲みに行くような人だからねぇ」
一体何年前の話をしているのだろう。
そんな出来事は憶えていないが、きっとその時も酒の神様に細君の全快を祈っていたはずである。
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