夜空を見上げるとオリオン座が見える。
ふと、歌が口をついて出る。
ひとつふたつみっつ 流れ星が落ちる
そのたびきみは 胸の前で手を組む
さだまさしの『線香花火』だ。
昭和51年11月発売とのことなので、私が高校二年生の時の歌だ。
理由もなく、この歌詞に出てくる女性が、理想の女性像だと、当時思っていた。
線香花火を見つめながら、その“星”の雫(しずく)が落ちるのを見つめて手を合わせる少女を、理屈抜きに愛(いと)おしいと思った。
いつか藤本義一さんが言っていた。
男は度胸、女は愛嬌なんて申しますが、女の愛嬌というのはほんまに大事です。
愛嬌というのは、ユーモアということです。
例えば、喫茶店で一緒におったとします。
男なんて、たまに黙っていたいことがあります。
そんなときに、
「どないしたん?!ムスッとして。私といて楽しくないのん?!」
という女性はあきません。
「何考えてるのん?分かった、私のことでしょ?」
というのが、ユーモアです。
河島英五のそんなに有名ではないが『約束』という歌の3番。
帰りにひいた おみくじふたつ
お前は吉 おれは凶
青い松の木に 重ねて結んで
これで半分づつの 幸せねと
泣かずに 泣かずに
わらって みせた
少しずつ すこしづつ
幸せに なるんだと
「これで半分づつの幸せね」
というのは、男泣かせのユーモアだ。
手を合わせ、おみくじを重ねる。
そんな女性とグラスを傾けてみたい。
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