2008年5月10日土曜日

グラスの底

夜空を見上げるとオリオン座が見える。
ふと、歌が口をついて出る。

 ひとつふたつみっつ 流れ星が落ちる
 そのたびきみは 胸の前で手を組む

さだまさしの『線香花火』だ。
昭和51年11月発売とのことなので、私が高校二年生の時の歌だ。
理由もなく、この歌詞に出てくる女性が、理想の女性像だと、当時思っていた。
線香花火を見つめながら、その“星”の雫(しずく)が落ちるのを見つめて手を合わせる少女を、理屈抜きに愛(いと)おしいと思った。

いつか藤本義一さんが言っていた。

男は度胸、女は愛嬌なんて申しますが、女の愛嬌というのはほんまに大事です。
愛嬌というのは、ユーモアということです。
例えば、喫茶店で一緒におったとします。
男なんて、たまに黙っていたいことがあります。
そんなときに、
「どないしたん?!ムスッとして。私といて楽しくないのん?!」
という女性はあきません。
「何考えてるのん?分かった、私のことでしょ?」
というのが、ユーモアです。

河島英五のそんなに有名ではないが『約束』という歌の3番。

 帰りにひいた おみくじふたつ
 お前は吉 おれは凶
 青い松の木に 重ねて結んで
 これで半分づつの 幸せねと
 泣かずに 泣かずに
 わらって みせた
 少しずつ すこしづつ
 幸せに なるんだと

「これで半分づつの幸せね」
というのは、男泣かせのユーモアだ。

手を合わせ、おみくじを重ねる。
そんな女性とグラスを傾けてみたい。

0 件のコメント: