2008年5月22日木曜日

木の鼓動

不本意にも、まことに不本意ながらも、仕事で連日遅くなると云う、堕落した日々を送ってゐる。
自宅の前にある体育館跡地まで来て、大きな木を見上げる。
怒りもせず、不満もぶちまけず、嫌な奴と話す必要もなく、しかし笑うこともなく。
泰然自若としてゐるから、この生物は、世俗に塗(まみ)れた動物なぞとは出来が違い、長生きするのかもしれぬ。

大きな動物も小さな動物も、一生の鼓動の数はほぼ同じ、などという話を聞いたことがある。
ネズミなどの短命な動物は、なるほど早鐘(はやがね)のように鼓動を打つ。
では人間様も、鼓動を早めるスポーツなるものは、命を縮める愚行かと云うと、そう単純な話ではなく、適度な運動は心臓の働きを強め、日常の脈拍を遅くする。
ゆゑに適度な運動は、寿命を延ばし、過度な運動は却(かえ)って体を害するとの由(よし)。

なるほど、何千年も生きる木の鼓動や、如何に。

ゆっくりすぎて、人の耳では聞き取れぬものかもしれぬ。

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