劇画『MASTER KEATON』勝浦北星作・浦沢直樹画(小学館)第三巻のCHAPTER1“屋根の下の巴里(パリ)”に中で、主人公キートンの恩師ユーリ・スコット先生の言葉が引用されている。
「考古学で一番大切なのは、直感に導かれた大胆な発想だよ」
おそらく何か原典があるのかもしれないと思って、検索エンジンで調べたがヒットしなかった。
原作者の創作だとすれば、感嘆に値する至言だと思う。
考古学に限らず、何事も直感に基づいて仮説を立て、それを手間ひまかけて検証する作業は愉しい。
時々、
「あの二人は怪しい」
と、直感することがある。
そうすると、不倫しているかもしれないという情報が耳に入ってくる。
そこで、あの二人は不倫している、と仮説を立てて観察する。
昔のテレビドラマなどで、マイクロフィルムや麻薬などを、雑踏の中や公衆電話のところで電話をかけるふりをして、スッと金と交換する場面がよくあった。
それなら、もっとましな場所があるんじゃないかと思ったものだが、不倫もそんな大胆かつ杜撰(ずさん)なサインがあるのでは、と仮説を立てて観察してみると、“クロ”であることが案外早く分かることがある。
例えば、オフィスでコピー機のところに被疑者A子が立ってコピー取りをしていたとする。
被疑者B男が、A子の後ろを通り過ぎるときにさりげなく体の一部に触れるのだ。
二人が“シロ”なら、当然A子は僅(わず)かでも何んらかの反応を示す筈(はず)である。
しかしながら、A子はB男が近づいてきたことは分かっていたので、触れられても全く反応を示すことなく、それをオフィス内の二人だけの挨拶と受け止めて、心の中で「フフッ」と笑うだけである。
このように仮説は大切だ。
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